(事故で)警察のお世話になりました

 先月の後半には、平石博一の個展や、刀根康尚を迎えての大友良英+Sachiko Mといった素晴らしいライブが幾つかあり、それらに関しては、今は亡き八村義夫が夜中に松平頼曉宅へ電話をかけてきて、藪から棒に時計の針が刻む音は何拍子ですかねと訊くも、一拍子だ、と松平が即答したという笑えてなおかつ2人の音楽性の差異をも感じさせるエピソードとともに詳述する予定だったのだが、あいにくそんな時間もなく2月は逃げるように過ぎ去った。
 そんな2月の4年に一度しかないマキノ雅弘の誕生日でもある29日に、例の自転車事故の後始末のため所轄の警察署に事故の届出に出かけた。警察というところも担当が替われば言うことも変わるわけで、月の初めの段階では一定の条件がそろえば事故の届出はいつでも出せると理解可能な口ぶりだったのだが、今回の担当氏はこれだけ時間が経つとかなり難しいですね、というかほとんどムリ、との無体なお答え。そこを何とかと食い下がり、事故として認定できない可能性もあります、双方の話を聞いた結果全くの自損事故として処理される可能性も覚悟しておいて下さいと念を押されたのち、とりあえず話を聞いてもらえることに。
 私としては、時間が経っているとはいえ客観的に自損事故として判定されるような事故で修理代を出してとゴネるほど性格は悪くないつもりなので、まあこれは望むところと。それで事故以来はじめて先方52歳主婦普通免許所持と顔を合わせることになったのだが初手から私の目はテン。先方が乗っていた自転車が電動機付き自転車であったことにこの時はじめて気付く、ならば黄昏時にはライトくらい点けておこうよ。
 もちろん、警察は双方の過失割合など算定してくれないのだから、私としてはこれが誘因事故として認定されるかどうかが問題。まず、私がコケたことに関して交差点に入るのに十分な減速がなされていなかったのではないか、ということが警察官の質問から問題になり、私にも一定の責任があることになると先方はわが意を得たりとの表情、そこから先方はヒートアップし危険な発言を次々と。
「私は右側通行などしていません。走っていたのは真ん中です」
「私が気がついたときには、この方はすでに倒れていました」
責任の回避を目指すも墓穴を掘るような発言で、私には先方の背後にジョジョのスタンド的な感じで立つバーチャルな弁護士がため息をつくのが見えたり。結局誘因事故として処理されたのだが、その結果が出ても先方は警察官の前で私からの電話を迷惑とすら語り、勝負には勝ったものの人生を生きる気合では負けたようで限りなくブルー。