演奏家に訊く vol.3 サクソフォン奏者 大石将紀

サクソフォンは、1840年代に発明された比較的新しい楽器ではありますが、現在、極めてメジャーな楽器のうちの一つとなっています。ただ、その知名度の大部分は、ジャズやポピュラー音楽の偉大な先行者たちの業績によるもので、クラシック−現代音楽におけるサクソフォンの魅力は、未だ知る人ぞ知るものであることも事実です。

クラシック−現代音楽におけるサクソフォンの魅力に、音色の豊かさに加え、演奏における極めて高度なコントロール能力が挙げられましょう。今回、1月の全曲無伴奏ソロ作品によるリサイタルで、微視的ともいえる音色のコントロールを披露された大石将紀さんにご登場いただき、クラシック‐現代音楽におけるサキソフォンの魅力と、邦人作品を中心としたレパートリーの可能性について語っていただきます。

楽器の歴史の大まかなところから、譜面を具体例とした細かい話、音色の制御から、現代音楽の演奏家にとっての即興演奏についての位置づけまで。極めて貴重なお話が伺える会になるかと思います。奮ってご参加ください。

【お話・演奏】 大石将紀(プレゼンター、訊き手 石塚潤一)
【日時】2016年9月25日(日) 18時開始(開場17時30分)
【入場料】2000円(学生1500円 学生証提示をお願いいたします)
【予約】当ページにて参加表明いただくか、junichi.ishizuka@gmail.com まで、お名前、人数、御連絡先を記載の上お送りください。
【会場】御嶽神社集会場 (東京都練馬区石神井4-34-9 近く)。定員30名。
西武新宿線上井草駅より徒歩8分
荻窪駅より西武バス(荻14 上井草経由 石神井公園行き)にて、井草高校下車 徒歩1分
西武池袋線石神井公園駅より西武バス(荻14 上井草経由 荻窪行き)にて、井草高校下車 徒歩1分

登壇者プロフィール

大石将紀

東京藝術大学卒業、同大学大学院修了。2001年渡仏しパリ国立高等音楽院に入学。02年から2年間文化庁派遣芸術家海外研修員として研鑽を積む。05年に同高等音楽院サクソフォン科、室内楽科を、06年には即興演奏科を全て最優秀の成績で卒業。さらに05年より同音楽院第3課程室内楽科(サクソフォン四重奏)に進み07年に修了。08年に帰国し、東京オペラシティ文化財団主催「B→C」に出演。これまでにダヴォス国際音楽祭(スイス)、サントリーサマーフェスティバル、武生国際音楽祭、東京オペラシティ文化財団コンポージアム、横浜みなとみらいホール「JUST COMPOSED」などに出演。また(財)地域創造の支援アーティストとしてアウトリーチを展開するなど幅広く活動している。2014年所属する現代音楽グループ「東京現音計画」で第13回サントリー芸術財団佐治敬三賞受賞。東京藝術大学東邦音楽大学洗足学園音楽大学非常勤講師(2015年現在)公式ウェブサイト: www.m-oishi.com


石塚潤一

東京都立大学理学研究科物理学専攻修了。2002年度柴田南雄音楽評論賞奨励賞受賞。読売新聞、ミュージックマガジンユリイカ別冊、音楽現代、音楽の友などへ寄稿。現在、Buncademy にて譜面を徹底的に読み込んだ上で作曲家に話を伺う「作曲家に訊く」シリーズを継続中。松平頼暁近藤譲湯浅譲二の各氏にお話を伺う。サキソフォン関連では、二人のサキソフォン奏者:菊地成孔大谷能生両氏の著書「憂鬱と官能を教えた学校 【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史」に、「標柱 シリンガーとバークリーの理論をめぐって」を寄稿したことがあった。吹奏楽経験者。御嶽神社宮司


石塚よりさらに一言

一時期、クラシカル・サクソフォンに非常な興味をもっていたことがあって、グラズノフイベールといった基本的なレパートリーから、クセナキスやケージの4重奏までいろいろな音源を集め、ケックランやデニソフに至っては、ピアノ・パートをさらってみたこともあったのですが、循環呼吸を駆使する韓国のインプロヴァイザー:姜泰煥の音楽に接した頃から、クラシカル・サクソフォンの世界から距離を置くようになっておりました。
それは、クラシカル・サクソフォンのトレードマークである、ビロードのような甘い音色、というものの逆説的な単調さを意識するようになってしまったからなのですが、今年1月に大石さんのリサイタルで聴いた武満徹の≪ディスタンス≫に、そういったネガティブな印象を払拭する魅力を感じ、今回、特にお願いしてご登壇いただく次第です。
以上のような経緯もあり、私は現在、クラシカル・サクソフォンの魅力を無条件に肯定する立場にはいないわけですが、ポピュラー音楽や即興音楽の最先端で日々行われているユニークな実践を参照してもなお、どのような可能性がクラシカル・サクソフォンの世界に残されているのか、ということを、歴史的な文脈から、さまざまな現代作曲家の実践例、これらを参照しつつ、煮詰めていく会になれば、と考えています。
若い作曲家や、演奏家、それからジャンルを問わず先鋭的な音楽を愛する方々にとって、得るものの多い場となると思います。それに、たとえもしも、トーク部分から得るものが全くなかったとしても、大石さんの演奏する武満とシェルシを至近距離で聴けるだけで、入場料の元は十分に取れるではないですか。
熱意ある皆様のご参加をお待ちしております。