音楽

5年目の音楽現代

音楽現代2013年9月号に演奏会評を1本寄稿してより、一号欠けることなく執筆を続けてきた。5年目に入るに当たり、記事を改めることに。 音楽現代2月号音楽現代 2018年 02 月号 [雑誌]出版社/メーカー: 芸術現代社発売日: 2018/01/15メディア: 雑誌この商品を…

演奏家に訊く vol.7 チェロ奏者 多井智紀

日本の現代音楽界における、80年代前半生まれの演奏家の活躍は目覚ましく、彼らをその多くが所属した団体の名前から、「アンサンブル・ボワ世代」と呼ぶことがある。その筆頭格の演奏家が、チェリスト:多井智紀氏であることは論を待たない。多井氏は他にも…

木下正道 自作を語る

21日に演奏される≪crypte VIII≫について、作曲者である木下正道氏にお話を伺った。 ************** 石塚潤一、以下、石)≪crypte VIII≫は2011年の12月に、生頼まゆみさんのリサイタルで初演された作品ですね。 木下正道、以下、木)そうです。…

生頼まゆみさんへのインタビュー

今週末開催の「演奏家に訊く vol.6 ツィンバロン奏者 生頼まゆみ」(詳細はこちらをクリック)での演奏曲について、生頼さんに幾つか事前にコメント頂きました(木下作品については、追って作曲家自身によるコメントもあるかと思います)。 至近距離でツィン…

演奏家に訊く vol.6 ツィンバロン奏者 生頼まゆみ 開催のお知らせ

好評のうちに回を重ねてきました「演奏家に訊く」シリーズですが、本年からは年1回に過去に登場頂いた方に再登場いただく機会を設けることといたしました。 今回、この再登場枠に、西欧で唯一ツィンバロン科のある、フランス国立ストラスブール地方音楽院で…

演奏家に訊く vol.3 サクソフォン奏者 大石将紀

サクソフォンは、1840年代に発明された比較的新しい楽器ではありますが、現在、極めてメジャーな楽器のうちの一つとなっています。ただ、その知名度の大部分は、ジャズやポピュラー音楽の偉大な先行者たちの業績によるもので、クラシック−現代音楽におけるサ…

演奏家に訊く vol.2 ツィンバロン奏者 生頼まゆみ 開催のお知らせ

ツィンバロンはハンガリーを中心とした中央ヨーロッパの民族楽器で、ピアノの弦を撥で直接叩くかのような音色に特徴があります。実際、その機能は初期のピアノ製作者たちの心を捉え、ピアノのダンパーペダルのシステムはツィンバロンを参考に生み出されたと…

湯浅譲二×西川竜太 対談

先月の終わりに、湯浅譲二、西川竜太両氏の対談を司会し、その模様が今月18日に発売された、「音楽の友」7月号(音楽之友社)に特集記事「声と言葉の可能性、「歌」への創造」として掲載されています。1時間半ほどの対談を収録し、文字に起こしてみたら一万…

音楽現代 現代音楽名曲推薦

雑誌「音楽現代」2016年7月号に、1945年以降の現代音楽から10傑を選んで紹介しています。ただ私は、2015年5月号、6月号で1950年以降の日本と世界の名曲を、一作曲家一曲の原則でそれぞれ20名20曲(計40曲)選んでしまっています。よって、今回は、原則的にこ…

演奏家に訊く vol.1 オンド・マルトノ奏者 大矢素子 開催のお知らせ

このたび、石塚が代表をつとめる御嶽神社の集会場を利用して、演奏家の方々にお話を伺う会を始めることとなりました。その最初のゲストとして、オンド・マルトノ奏者の大矢素子さんにご登場いただきます。オンド・マルトノは、1928年にフランスの技術者・音…

3年目の音楽現代

音楽現代2013年9月号に演奏会評を1本寄稿して以来、1号も欠けることなく執筆を続けて早2年が過ぎた。で、3年目に入るに当たり、エントリーを改めようと思う。1年目の執筆内容は、音楽現代(2013.9月号-2014.8月号)を、2年目は2年目の音楽現代ご覧くだ…

CD二題

私が解説を執筆したCDが2か月続けてリリースされます。一枚目は現在91歳のソプラノ歌手、平山美智子さんのソロCD。山田耕筰を中心に、早坂文雄(平山さんと早坂文雄は親同士が従兄弟の関係にあります)、湯浅譲二、松平頼暁などを収録。平山さんは、195…

東京都交響楽団 日本の現代音楽コンサート1987-2015まとめ

東京都交響楽団が、創立50年を記念して過去の演奏会のアーカイブを構築した。このアーカイブを検索し、1987から2015年まで、都響が継続していた日本人現代作品についてのコンサートの記録を抽出してみた。 1987 1/16(金) 19:00 東京文化会館 第247回 定期…

楽曲分析の講座を始めます

BUNCADEMYで、楽曲分析の講座を担当することになりました。 BUNCADEMYとは、フェルドマン研究で博士号を取得した、お茶の水女子大研究員の沈孝静さんが代表をつとめる、新しいタイプの文化芸術講座&語学講座を行う教室。学芸大学駅近くのマンションの一室に…

2年目の音楽現代

ちょっとしためぐり合わせより、昨年9月号の音楽現代に演奏会評を1本寄稿することになった。拙文を認めて下さった方もあるようで、以来、1号も欠けることなく執筆を続けて来ることが出来た。その細目について、当ブログにてお知らせしてきたが、2年目に…

音楽現代(2013年9月号-2014年8月号)

昨年7月のとあるコンサート会場にて、このコンサートの写真を撮影していた方が併せて掲載する批評を執筆する人間を探しているとかで、たまたま会場に居合わせた私が紹介されるに至った。批評は「音楽現代」誌に掲載され、以来、この雑誌に毎月何か執筆して…

詩と音楽のための雑誌「洪水」 松平頼暁特集

もう一つ、詩人の松井茂氏より声をかけて頂き、詩と音楽のための雑誌「洪水」に作曲家:松平頼暁の管弦楽曲についての概説を書くことになった。執筆が決まってより、松平氏が銀座の歩道橋の階段で転んで入院されたり、と、様々なトラブルがあったが、どうに…

平山美智子−90歳の軌跡− チケット購入方法など

今年の7月に90歳を迎える、ローマ在住の伝説的なソプラノ歌手:平山美智子さんのコンサートを制作しております。6月11日、公演についての記事が読売新聞東京版夕刊に載り、連絡先として記載された私の携帯番号に数多くのお問い合わせを頂いております。この…

黛敏郎電子音楽演奏会

京都に行ってきた。黛敏郎の電子音楽を集めたコンサートがあり、ここでの配布を目的に編纂された書籍に10000字ほどの評論を寄せた関係で、京都まで往復してきたのだ。黛敏郎の電子音楽作者: 川崎弘二,黛敏郎,川島素晴,清水慶彦,野々村禎彦,今堀拓也,石塚潤一…

『憂鬱と官能を教えた学校 【バークリー・メソッド】によって俯瞰される20世紀商業音楽史』

8年前の今頃、京橋にある映画美学校の『商業音楽理論史』という講座に通っていた。講師の菊地成孔は、当時デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン(DCPRG)という、電化マイルスの展開系ともいえる大編成のポリリズム・ジャズファンク・ユニットを主…

大里俊晴(1958.2.5 - 2009.11.17)追悼

11月17日、午前1時14分。肝臓癌に伴う静脈瘤からの出血および肝不全、腎不全で逝去。あれは上野の文化会館に高橋アキの弾くシューベルトを聴きに行ったときだと思う。かねてより大里氏がいてしかるべきコンサートで姿が見えないことを不審に思っていた私だっ…

木下正道氏による渾身の企画をご紹介すること

木下正道氏といつごろから知り合いになったのかは良く覚えていないのだけど、2002年のリュック・フェラーリの初来日の際とか、中村和枝、山本裕之両氏によるコンサート企画:ピアノ接近物語であるとか、座席の位置が本質的に聴取へと関わってきそうな公演で…

第2回東京佼成ウインドオーケストラ 作曲コンクール本選会

8日 14:00 東京芸術劇場 中学時代に吹奏楽部にいたこともあり、この分野で面白そうな催しがあると聞けば、出来る限りチェックするようにしている。今回は、佼成ウインドオーケストラが主催する作曲コンクールの本選会があるというので池袋まで出かけてきた次…

そら飛ぶ庭 関連のまとめ

読者を音楽愛好家に限定しない、「そら飛ぶ庭」というサイトにほぼ月1で寄稿してから25回。今回、最近の原稿に手を入れたので、まとめて紹介してみることに。何気に、自分が書く原稿でいちばん苦労しているもののうちの一つだと思う。シュトックハウゼンに…

エグベルト・ジスモンチの来日公演について週刊新潮の取材に答える

本日発売の週刊新潮に、エグベルト・ジスモンチの来日公演(13日、14日 すみだトリフォニーホール)が紹介されており、これに関する取材を(先の土曜日に)電話にてお受けした。エグベルト・ジスモンチの倫理 そら飛ぶ庭 趣の庭 (リンクあり)を読んで、電…

湯浅譲二バースデーコンサート

湯浅譲二氏と初めてお話しをしたのは、東京オペラシティでの音楽祭:コンポージアムにリゲティが来なかった際、グロボカールの公開レッスンがあった時のことだから、もう11年も前のことになる。当時、私は将来自分が音楽評論を書くなんてことを想像だにして…

ピアニストが背負い込まされる(余計な)重圧についての話

突然、窓から差し込んできた怪光線によって人体が発火、そのまま焼死するも遺体は完全に灰になってしまったので原因を究明することも出来なかった、といったオカルト話を、昔、子供向けの読み物でよく読んだ。ガキのポンカン頭からしてみると、これはこれで…

「日本の電子音楽 増補改訂版」の新聞広告

この日記でも何度かご紹介している、私も文章を寄稿したりなどしている川崎弘二氏の労作という他ない著書「日本の電子音楽 増補改訂版」(愛育社)ですが、これの新聞広告が6月6日の毎日新聞朝刊(東京版)に載っていたという話を聞きました。しかしながら…

追悼 佐藤慶次郎(1927.6.6 - 2009.5.24)

早坂文雄という作曲家については、しばしば伊福部昭と並置する形で紹介されるが、(その修行時代の交友はともかく、彼の音楽性を思考する上で)これは完全な間違いだと思う。というのも、1950年代以降、その作風を殆ど変えなかった伊福部に比べ、早坂はその…

日本の電子音楽 書評関連

私も寄稿している川崎弘二氏の労作「日本の電子音楽 増補改訂版」(愛育社 2009)ですが、昨日の讀賣新聞朝刊10面に小さな書評が載っていました。大々的に扱うには少々マニアック過ぎると判断された様子。しかしながら、題材が題材なため楽譜が一切使われて…