シュトックハウゼンの「モメンテ(瞬間)」

3月27日 Uplink X 21:30
リュック・フェラーリが撮った一連のドキュメンタリーシリーズのうち、既に3本を観ることが出来ましたが、その中でもダントツの逸品がこれ。「映像のモンダージュという点で一番成功した」がゆえに、フェラーリ自身が一番気に入っていた作品であるともいいます。
とにかく、時代の寵児としてのオーラを全身に纏ったシュトックハウゼンの姿が凄いし、音楽に対しての映像の切り込みがそれに増して素晴らしい。ある音楽を耳にしてスコアを確認するとき、作曲という職能を持つ人間なら当然目を惹かれる箇所というものがあるでしょうが、それらを漏らさずフォローしていくという感じ。耳の驚きが目の驚きに直結している驚異的な仕事(これに比べるとセシル・テイラーの映画は、対象を扱いあぐねている、という印象)。1965年の映像で、所謂ドナウエシンゲン・バージョン演奏のリハーサルだと思われます。
この作品については、シュトックハウゼン出版でビデオ・DVDを販売していますが、まあ、国内での上映機会があれば、是非。