ジョン・ケージ「ユーロペラV」日本初演

15:00
20:00
サントリーホール小ホール(ブルーローズ)
サントリーが開発した青いバラにちなみ、新たにブルーローズと愛称がつけられた、サントリーホール小ホールでの「ユーロペラV」日本初演へと出かける。接近する台風の影響で風も雨も強く、青バラならぬ紫のバラの人@「ガラスの仮面」のように、客席が私一人だったらと危惧したが、夜の部はほぼ満席。昼の部も平日の昼間としてはあり得ないほどの客入りだった。
先日のノーノ(「進むべき道はない、だが進まなくてはならない。アンドレイ・タルコフスキー」)と併せて、戦後前衛の底力を思い知ったというのが、今回のサントリー音楽祭の総括になるのはほぼ確実な情勢。誰もが知る名曲オペラのアリアという平易な素材が、ある意味暴力的ですらあるコンセプトを引き立たせている。全編にチャンス・オペレーションを用いながらも、音色的・空間的多層化を見事に行い、同時に音楽受容史をも重ねているとは。恐るべき老獪。
今年のベストコンサートはおそらくこれだろう。さらに、夜の部終演後にパヴァロッティの訃報を聞く。オペラにおける歌手の特権性を剥奪した作品の終演後にこの訃報とは。
#このコンサートについては、読売新聞夕刊に以下のようなコンサート評を書いた。