爆音映画祭
吉祥寺バウスシアターの音楽用音響システムをフルに使い、限界まで音量を上げて映画を観る試み:「爆音映画祭」が、5月16日から24日まで開催されるそうです。爆音と言いつつも、過去の上映を幾つか経験した限りでは、細部が聴き取れないようなレベルまで音量が上げられることは節制され、かなり丁寧なレベルの調整が行われている様子。
で、細部に至るまでの異様かつ革新的な音響構成で知られるゴダールの「ヌーヴェルヴァーグ」、日本最終上映だとか。ヒンデミットの交響曲「画家マティス」(第三楽章冒頭)が大音量で響き渡る中、湖で溺死させられるアラン・ドロン。というだけで見逃せない気分になるでしょう?
黒沢清が撮ったNHK-BSのドラマ「風の又三郎」(音楽:大友良英。上映当日はレクチャーも)の上映もありますが、この2本がよりによってスティーブ・ライヒの公演に重なっているというのは、どういうことなのよ。
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他には、スピルバーグ「プライベート・ライアン」(廃墟でエディット・ピアフが流れるシーン。ライアン二等兵の思い出話はサイテーだが、蓄音機から流れる音楽が廃墟で反響する音場効果は絶品。その後の地鳴りのようなドイツ軍の登場シーンも含めて)、北野武「3-4x 10月」(「音楽」の無いこの映画を観ると、「あの夏、いちばん静かな海」での久石譲の仕事が、いかに「映画的耳」を欠いた代物であるかがわかろうというもの)、相米慎二「台風クラブ」など。
変わったところでは、川島雄三の怪作/快作「喜劇とんかつ一代」も上映。松井八郎作曲の主題歌「とんかつの唄」は、上野近辺を散歩するときについ口ずさんでしまったり。いや、「とんかつが食えなけりゃ死んでしまいたい」とまでは、思ったことはないけれど。
Jean-Luc Godard - Nouvelle Vague (1990 film) [SOUNDTRACK]
- アーティスト: Various,Original Soundtrack
- 出版社/メーカー: Ecm Import
- 発売日: 2000/10/31
- メディア: CD
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ゴダール「ヌーヴェルヴァーグ」のサウンドトラックアルバム。通常と違うのは、映画で使用されている音楽を集めたアルバムではなく、文字通りのサウンドトラック−映画に付随している音声(セリフ、環境音、効果音、音楽)−を丸ごと収録しているという点。ビデオデッキが普及し切った1990年代にこういう商品が発売されたことが、この作品の特異性を証明しているような。でも、DVDを買って映像抜きで再生しても同じ、ですよね。